日本統合失調症学会第17回大会のテーマは、「対話の扉の先へ:足元と未来を共に照らしながら」です。このテーマに基づいて、本大会は様々な立場の方から構成される委員会によってプログラムを検討いたしました。多様な視点からご意見をいただき、最終的なプログラムの構成は生物学的・脳科学研究から、薬物治療研究、心理社会的研究、臨床課題を追求する研究まで、多様かつ学際的な内容となりました。ぜひ、研究者・支援者・精神疾患の当事者・家族を含めた多くの方に、本大会にご参加いただけますと嬉しく思います。
第17回大会は、前回第16回大会から託された思いを受け継いだ大会です。前回大会は、当事者、家族、臨床家・支援者や研究者が協働して、実践や研究を積み重ねる共同創造の重要性を掲げ、その第一歩として、当事者・家族も参加する「学術における対話の場」としての大会を目指しました。第17回大会は、様々な方が参加する「学術における対話の場」という姿勢を引き継ぎ、その対話が見据える先、つまり現在の足元の課題と未来に向けた先端研究の双方に着目した大会にすることを狙いとしています。私たちは、対話を「ゴール」でなく、「手段」として位置づけています。多様な立場の方が集まり、統合失調症の治療や支援および関連研究について対話することは、きっと未来の治療・支援の改善や研究の推進につながると考えています。
第17回大会の特徴は、これまで本学会が掲げてきた、生物・心理・社会・倫理的など多元的側面からの統合失調症に関する研究の推進に、共同創造の要素を加えた点にあります。本大会のプログラム委員会は、当事者や家族、支援者、研究者によって構成されておりましたが、決して心理社会的な内容だけに偏らず、様々なテーマのシンポジウムが包含されています。具体的には、生物学的・脳科学研究、薬物治療学研究、コミュニケーション研究、家族支援研究、主体性研究、共同創造による研究テーマに関する研究、地域の現実的な課題に取り組む研究といったシンポジウムが予定されています。また、各シンポジウムでは、座長やシンポジスト、あるいはコメンテーターとして当事者・家族・支援者・研究者が参加しており、多様な立場からの活発な意見交換が期待されています。
第17回大会では、新しい試みを2つ計画しております。一つは、各シンポジウムの発表者に、可能な範囲で専門用語に関する事前資料や動画を用意していただくことです。学術大会の発表時間は非常に短く、発表者は鍵となる言葉の意味を説明する時間もないことがしばしばあります。そこで、私たちは対話を促す一つの工夫として、事前資料の準備を登壇者にお願いしています。もう1つは「グループビューイング」の参加費設定です。インターネットにアクセスしにくい方が、普段利用する通所事業所などで集まって視聴することを想定した参加形態となっています。
第17回大会は、前回大会同様に、治療や回復のあり方について利益相反のありうる団体からの寄付金や寄付講座(ランチョンセミナー)を受け付けていません。よって、プログラム委員会やメインシンポジウムの登壇者に謝金もお支払いしておりません。つきましては、学会運営や当日のサービスは簡素となることをあらかじめご理解いただけますと幸甚にございます。
最後になりますが、大会当日に多くの方々にお会いできることを楽しみにしております。また、参加される方におかれましては、統合失調症やその他の関連疾患に関する研究と実践の足場固めと未来への取り組みの双方を考える機会にしていただきたく思います。様々な背景を持つ方のご参加をお待ちしております。
当事者・家族の声は、研究の種となる
研究は、時に当事者・家族の希望となる
私たちの対話は未来につながる!